品質問題検討特別委員会活動方針
成熟社会を迎え持続可能な社会の実現に向け、社会資本の高耐久化に向けた取り組みが始まっている。 昨今話題になっているコンクリートの乾燥収縮の抑制もその一つである。この乾燥収縮問題において骨材がその大きな要因として取り上げられることにより、 コンクリートの体積の7割を占める骨材の重要性が再認識される結果となった。また、循環型社会、低炭素社会にむけて、 産業副産物であるスラグ骨材や再生骨材がJIS化されるなど、その使用環境の整備が進み、省資源、環境保全の観点から新しい骨材が誕生している。 これらが示すことは、これからの社会の持続性や環境に骨材が大きく関わっていることである。このことについて、我々は10余年前から既に「砂利・砂無くして国滅ぶ」と骨材政策の重要性を社会に訴えてきた。 砂利資源の枯渇が危惧され、またその開発にかかる経済的負担が増加する環境下での価格競争は、砂利業界の未来を奪おうとしているといっても過言ではない。
杉山 隆英 理事長
そこで、当委員会においては、今後の砂利業界の生き残りを懸け、環境新時代におけるロングライフなコンクリートに適した骨材について、 砂利・砂と競合するコンクリート用骨材との比較による相対的な性能評価を行い、その優位性を社会に示すことを目的とする。 また、セミナーを実施し、コンクリートに関する最新の話題を含めて骨材に関する見識を深めることで、ユーザーの動向をつかみ、 速やかな対応により競合業界との差別化を図り、競争力を高めることを目的とする。この目的を達成することが、 ユーザーがコンクリートの求める品質により骨材を選択する「骨材業界の共生」を確立することに繋がるはずである。
性能評価試験
- ①耐火度
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- 試験方法:
- JASS5 1991年版 粗骨材の耐火度の試験方法(岸谷委員案)日本建築学会
- 内容:
- 構造体コンクリートの耐火性を確保するため、粗骨材を800℃の加熱炉で30分加熱した後の質量減少、破壊などの骨材の損傷を確認し、耐火度を評価する。
- ②乾燥収縮
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- 試験方法:
- コンクリート用粗骨材の乾燥収縮試験方法(案)日本コンクリート工学協会
- 内容:
- 粗骨材に砂利、砂岩砕石、石灰石砕石を用い、細骨材は3種を混合して同一配合のモルタルとしてコンクリートを練混ぜ、粗骨材によるコンクリートの乾燥収縮の違いを確認し、粗骨材の乾燥収縮に対する抵抗性を評価する。また、細骨材を変化させた場合の確認も行い、細骨材の乾燥収縮に対する抵抗性を評価する。同一単位水量でコンクリートを練混ぜた場合のスランプの差から、砂利・砂を用いたコンクリートの流動性が良好なことを確認する。
- ③化学的侵食に対する抵抗性
- 酸性雨、硫酸塩 凍結防止剤が作用した場合の耐スケーリング特性
- ④コンクリートのすり減りに対する抵抗性
- 耐磨耗性試験
- ⑤ポンプ圧送性
- 加圧ブリーディング試験方法(土木学会:JSCE-F502-2007)